リーダーを任せる人間に必要なたった一つの素質とは?
■ リーダーに求められることは管理でも引率でもない
多くの現場で「マネージャー」と「リーダー」が混同されています。
組織の中で一定のポジションにつけば、リーダーとしての役割を求められ、
同時に人やルールを“管理する”ことがリーダーシップだと認識されている場面も多いと感じます。
私が定義する「リーダー」とは、そうではなく、
リーダーとは、「今のままではいけない」もしくは「何を変えて変えて行こう?」という意識を持ち、未来に向かって組織を動かす人物です。
今を維持するのではなく、現状に一石を投じ、
“目的地”へ向かって最初の一歩を踏み出す人。
それが、私が定義するリーダーです。
■ マネジメントとリーダーシップの違い
人やルールを管理することは、マネジメントの一部であり、
業務の進行や組織秩序の維持において、マネジメントは不可欠です。
しかし、「今ある状態を維持すること」=「リーダーシップ」ではありません。
リーダーとは、「病院という組織をどこに向かわせるか」を描き、
そのビジョンに向けて自ら行動を起こし、周囲を巻き込む存在です。
つまり、“未来をつくる存在”がリーダーであり、
その未来への道筋の中で組織を必要な業務通りに仕事をさせたり、ブレないようにゴールを向かせる”管理”をする必要性は出てきます。
そういったマネジメントを内包することはあっても、
起点は常に「現状否定」から始まっています。
■ リーダーシップの原点は「自立」である
現場での実践とリーダー育成に携わる中で、私は一つの結論に至りました。
リーダーシップの基盤は、“自立(自律)”です。
「自立」とは、単に自己判断することや、勝手に動くことではありません。
組織の目的や現場の課題に対して、自分の責任範囲の中で、必要な行動を選び取る力のことである。
自立していない状態では、組織の上意や現場の声に翻弄され、
「結局どうしたらいいのか」が自分の中で定まらず感情も乱れます。
そうなると、行動が止まり、立場を守ることに意識が向いてしまう。
これでは、リーダーとしての役割は果たせません。
■ 自立とは、「個人の軸」を持つことである
自立の第一歩は、自分の軸を持つことです。
これは、「個人の意見を組織に通すこと」ではありません。
自分はこの仕事を通じてどうありたいのか。
何に喜びや意義を感じるのか。
病院や医療職という立場に、どのような理想や信念を持っているのか。
こうした問いに、自ら言葉で答えられる状態こそが「軸を持つ」ことです。
この軸が明確でなければ、
「病院の目指す方向性」や「院長から求められる指示」に対して、
本当に心から理解納得することも、納得して動くことも難しくなる。
結果として、指示を“こなす”、”待つ”だけの受け身なトップからしたら物足りない、従業員からしたら頼りないリーダーが生まれてしまいます。
リーダーとして求められるのは、
「自分の軸」を優先することでも、「組織の軸」に盲目的に従うことでもありません。
重要なのは、自分の価値観と組織のビジョンを重ね、統合した思考と行動をすることです。
「私はこう考える。そしてトップはこう考えている。だからこの組織をこの方向に導く」という筋の通った意志があること。
それが、周囲を納得させ、信頼を得る原動力になります。
私がSTEP-Lプログラムで提供している“12STEP”も、
業務改善やミーティング計画などテクニカルなスキル習得の前にまず「在り方」や「軸」を整えるステップから始まっています。
その理由は、リーダーに必要な行動のほとんどが、
この“自立”という土台なしには成立しないからです。
■ 結論:「役割を果たす」のではなく、「意味を見出して動く」こと
「リーダーは、管理職」と定義されることが多いですが
求められているのは、
“このままでいいのか?”と問い続ける姿勢と、
“自分は何のためにこの役割を担うのか”と軸と持って語れる力です。
常に患者のために切磋琢磨し発展していきたい組織にとって、そして医療現場にとって、
未来をつくるリーダーが必要です。
その第一歩は、“自立”であると私は考えています。
お読みいただきありがとうありがとうございました。